Oracle ACEとしての10年を超えて

2009年8月25日、「Oracle ACEでもあります」と初めてご紹介いただきました。*1 この紹介にあたって、『講演は「君もOracle ACEになろう」で〆てくださいね。』みたいな文が最終行に書かれたメールを受信していることに気が付いたのは数日前 ーー 元々の講演依頼にはなかったし。私個人に講演依頼があったわけじゃなかったのに。
上司に相談したら、やつぎばやに『そりゃぁそうでしょう。何言ってんの。自覚がないな。要望に応えて。宿命。しっかりやってください。』とのお言葉をいただき。
ぐっとこらえて。他のメンバーの方も多かれ少なかれ「無茶に応える輪が Oracle ACEなんだろう」と自分を納得させ、その講演に臨み。
〆は「技術者が もっと外に出られるようにしてあげてください。そうしたら更に伸びます。」との「武者修行のススメ」にしました。

あれから10年、武者修行を続け、今も わたしは Oracle ACEのメンバーです。 *2
日々、様々なご支援をいただいている方々には深く感謝いたします。
今後ともご指導ご鞭撻のほど よろしくお願い申し上げます。




2019年8月25日現在、 Oracle ACE Directory には、 722名の登録があり。Groundbreaker AmbassadorとJava Championの方々を除くと、Oracle ACE Associateは139名・Oracle ACEは199名・Oracle ACE Directorは98名。日本に限ると Oracle ACE Associate 3名・Oracle ACE 7名。この7名の中で、私と同じ Expertise: Database Management & Performanceは、4名。この4という数自体は、私が登録される前、つまり10年前と同じです。先達と、武者修行を共にする同士へ敬意を表して。

*1:サポートエンジニアの事実と真実 | Oracle Technology Network Japan Blogおよびインタビュー:日本ヒューレット・パッカード株式会社 諸橋 渉さん - YouTube の時

*2:Become an ACE記載の“Maintain a consistent level of activity”が認定の判断基準です。審査は、Oracle ACEとは - wmo6hash::blogを書いた頃と違い、厳密には12ヶ月単位ではありません。2019年5月中旬に、2018年6月1日から2019年5月31日分の活動を審査されました。
認定証明: https://apex.oracle.com/pls/apex/f?p=ACES:DIRECTORY:::::SEARCH:Wataru+Morohashi

“「Cloud-Native Relational Databases」と かけて「Oracle Database」と解く。その心は「……」” - JPOUG in 15 minutes #8

JPOUG in 15 minutes #8内で、私が みなさんと行った“「Cloud-Native Relational Databases」と かけて「Oracle Database」と解く。その心は「……」”のふりかえりです。

はじめに

会場入り後、刻々と体調が悪くなり、意識が朦朧としている中で話しました。きっと輪をかけて話がわかりにくい状況でした。参加してくださった方々には、たいへん申し訳ありませんでした。
運営にあたる方々へも、ご迷惑をお掛け致しましたことをお詫びいたします。
そんな状況下において、真摯に耳を傾けてお聴きいただいた方々と的確なコメントをしてくださった方々へ感謝いたします。

セッション要約

CNCFの定義における「もたらすもの」と「実現するための抽象的な技術要素」に着目し、「何がCloud-Nativeか」を仮定しました。
「何がリレーショナルデータベース管理システムなのか」を仮定しました。
Database in CNCF Cloud Native Interactive Landscape には様々なデータベースがあるものの、Trail Mapには Vitessひとつ。ひとつのみでは、Databasesではありませんよね。

一方で、パブリッククラウドでは、各種のフルマネージドなデータベースサービスがあります。
それらの中で、先に説明したクラウドネイティブの定義で最も重きの置かれると思われるスケールアウト・インの容易さ度合いを明示しました。
これらに違和感がないかを会場のみなさんに確認しました。
その中の3つに触れている Socrates: The New SQL Server in the Cloudに記載されている特徴は、「Compute と Storageが分離し、それぞれが別々に拡張可能」です。
これを満たしているものは、Cloud-Native Relational Database Servicesとして良いと仮定しました。その満たしているもの、Amazon Aurora、Azure SQL Database Hyperscale、Oracle Real Application ClustersベースのOracle Cloud Database Servicesを並べてアーキテクチャの図示にて確認しました。

ここまでのお話をまとめると“クラウドネイティブなリレーショナルデータベースとは、Compute と Storageが分離し、それぞれが別々に拡張可能。フルマネージドのデータベースサービスなら、Oracle Real Application ClustersベースのOracle Cloud Database Servicesと、Amazon AuroraとAzure SQL Database Hyperscale。”になります。
そして、これまで明示した全ての特徴を踏まえ、Oracle Databaseがクラウドネイテイブなリレーショナルデータベースかどうかと問われたならば ーー 「Oracle Database for on-premis systemsも、Oracle Real Application Clustersかつ構成によってはクラウドネイテイブリレーショナルデータベース」が結論です。

その後、この内容に対して、その場におられた著名なデータベース技術者の方々からコメントをいただきました。
会場内でも、いくつかご意見をいただきましたが、ご意見は、このツイートに尽きます。よって、この考察は、ひとつの解釈として特におかしくはないものと判断しています。

補足

一旦ひとつの解釈を形にした試みと捉えていただけると幸いです。Oracle Databaseをあえて避けて解釈するのは不自然だから、何かしらの解釈を示しました。それだけのことです。
この話で触れた Vitessは @cotoc88さん、その他に今回はあえて触れなかった Database on Kubernetes の話は @tzkbさんが、積極的に様々な情報を発信されています。これらに ご興味のあるかたは、このお二人からの情報を追いかけてみてください。
なお、Kubernetesで容易に扱えるDatabaseや、Public Cloudの DBaaSは、これから更に増えます。それらの中で何が本質的にクラウドネイテイブなリレーショナルデータベース管理システムなのかは、みなさん自身で見極めてみてください。

また、こんな話だったら、「むずかしく考えずに、ここを読むといい」といった情報がありましたら、本投稿へコメントしていただけると うれしいです。

Cloud-Native Relational Databases - JPOUG in 15 minutes #8

お知らせ

2019年7月23日(火)19:00、JPOUG in 15 minutes #8 @ エヌ・ティ・ティ・データ先端技術株式会社コラボレーションルームを開催します。JPOUG in 15 minutes #8 - Japan Oracle User Group (JPOUG) | Doorkeeper から、どうぞお申込みくださいませ。


そこで、わたしは、こんなお話をします。

「Cloud-Native Relational Databases」と かけて「Oracle Database」と解く。その心は「……」
「Cloud-Native Relational Databasesとは何ぞや ?」への端的な解と、SIGMOD 2019: Accepted Industrial Papers > Socrates: The New SQL Server in the Cloud で触れられている Oracle Real Application Clusters、Amazon Aurora、Azure SQL Database Hyperscaleの謎をささやかに解く試みです。

JPOUG in 15 minutes #8 | Japan Oracle User Group (JPOUG)

なぜそのような話を?

6月26日(水)、日本マイクロソフトセミナールームで データ分析プラットフォーム勉強会#4『Azure SQL Database Hyperscale(The New SQL Server in the Cloud)』 に参加しました。
Azure SQL Database HyperscaleとAmazon Auroraアーキテクチャ比較のお話と共に、「 Socrates: The New SQL Server in the Cloud , SIGMOD '19*1も読もう !」との お話があり。
後日、ざっと読んでみると、Oracle Real Application Clusters(Oracle RAC) と Amazon Aurora: Design Considerations for High Throughput Cloud-Native Relational Databases, SIGMOD '17に触れられていました。

さらに数日後、7月1日(月)、日本オラクルセミナールームで 恐るることなかれ! Cloud NativeリレーショナルDB特集!! - cndjp第12回『Cloud Nativeな技術でRDBの世界に挑む超意欲的な勉強会』 に参加しました。
明示はされていませんが、主に App Definition and Development - Database in CNCF Cloud Native Interactive Landscapeに掲載されているソフトウエアの中で関係データベース管理システムを“Cloud NativeリレーショナルDB”と定義されていたような話かと思ったら、こちらでも、Amazon Aurora、Azure SQL Database Hyperscaleのお話があり、更に Hyperscale (Citus) on Azure Database for PostgreSQLにも触れられていました。

その後、改めて クラウド環境に於けるクエリ実行時の資源調整機構を備えた高速データベースエンジンの試作に関する一考察なども再読し。

「Cloud-Native Relational Databasesって分類したほうが良いよね ? Oracle RACも説明に用いられているから、相違点とかまとめてみようかな ?」と思いたち。*2

簡潔にまとめるよう努めます。

*1:SIGMOD '19と言えば、このブログで何度か触れているAnastasia Ailamaki せんせいが、SIGMOD E.F. Codd Innovation Awardでした

*2:とはいえ、少なくとも Oracle Database, MySQL, Micorosoft SQL Server そして PostgreSQLという historical trend of the popularity ranking of database management systems のほぼ不動の上位4つ……いや4つに分類されているだけで実態はたった4つの話ではなく……